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[大阪高裁判決][平成13(2001).08.30] [事件の概要] 会社は、年功型賃金制度を能力主義・成果主義賃金制度へ変更するため、賃金規程・退職金規程の変更を行いました(平成8年)。 そのことにより、格付けが下がり、賃金が下がった、ハクスイテックの研究所に勤務する従業員A(構成員2名の労働組合の組合員でもある。)は、「この変更は、合理性のない不利益変更であり、旧賃金規程が現に効力を有する。」ことの確認を求めて、訴えを提起しました。 賃金規程の変更は、旧規程の年功部分80%が、新規程では職能部分80%です。 退職金規程の変更は、計算の基礎が勤続年数であったものが、職能制度をベースとしたポイント加算制度になりました。 また、「労働組合との交渉においても合意に至っておらず、今まで労働条件の変更については、労働組合との合意を得て、実施するという慣行があったから無効だ。」というものです。 Aは、敗訴しました。 [裁判の結果]一部棄却、一部却下 労働者の訴えは、賃金については退けられ、退職金については取り上げられなかったということ。 [判決の要旨] ●合理的変更法理 就業規則を変更し、労働者の既得権を奪い、また労働者に不利益な労働条件を課すことは、原則として許されない。 しかし、その変更が、その必要性及び内容からみて、労働者が受ける不利益の程度を考慮しても、なお、合理性を有すると判断される場合には、労働条件の集合的処理の観点に照らし、使用者は、個々の労働者の合意を得なくても、有効にかかる変更をなしうるとするのが相当である。 そして、その変更が、賃金や退職金といった労働者にとって、重要な権利についてなされる場合には、かかる不利益を労働者に受忍させることを法的に許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理性がなければならない。 ●労働組合 労働組合(構成員は原告を含め2名)と合意に至らなかったことについては、実施までに制度の説明も含めて5回、その後の交渉を含めれば10数回に及ぶ団体交渉を行っており、また、右組合に属しない従業員は、いずれも新賃金規程を受け入れるに至っている。 また、労働条件の変更については、労働組合との合意を得て、実施するという慣行があつたことを主張するが、そのような慣行までは認めることができない。 よって、被告における新賃金規程への変更は、高度な必要性に基づいた合理性があるものということができる。 [コメント] ここで、注意しなければならないのは、賃金制度の変更を認めながら、問題はそのやり方にあることを示しています。 裁判では、不利益の程度(経過措置も含む。)や高度の必要性(今回の場合は、赤字経営のため、収支改善すべき必要性)を見ています。 そして、組合の同意が得られなかったとして、何度も交渉を試みたという流れ(話し合いの場を持った)は、大切です。 トップページへ |